82 ブラックホールの蒸発:ホーキング放射
1974年 スティーヴン・ホーキング
・量子論の特徴の一つは、からっぽの空間というものがないことである。
・一見空っぽに見えても、ミクロなスケールでは常に正エネルギーと負エネルギーの仮想粒子の対生成がおこなわれている。
・事象の地平線のすぐ外側の領域では、正エネルギーの粒子は、エネルギーが大きければブラックホールから逃れることができる。
・一方、負エネルギーの粒子はブラックホールに吸い込まれる。
※事象の地平線:事象の地平線よりも内側では、ブラックホールから脱出するために必要な速度が光速よりも大きくなるため、どのようなものもそこから逃げ出すことはできない。
・負エネルギーの粒子が吸い込まれるため、結果的にはブラックホールのエネルギーは減り、ブラックホールは次第に小さくなっていく。
・ブラックホールが「蒸発」していくのだ。
・この蒸発の最終のプロセスがガンマ線バーストとして観測される。
・ブラックホールの蒸発の際には、新たに陽子や中性子も作られる。
・この時の温度は、T=10の32乗Kにも達する。
・ただし、蒸発しきるまでの時間は、1059 億年と宇宙年齢約140 億年と比べて桁違いに長い。
・現在のところ、このプロセスについて確実なことは分かっていない。
【参 考】
[1] ブラックホールの謎に迫る 2004年日本物理学会科学セミナー
「アインシュタインと21世紀の物理学」テキスト(2004年8月5日-6日)
高エネルギー加速器研究機構 夏梅 誠
http://www.h7.dion.ne.jp/~natsuume/articles/jps_seminar_txt2.pdf
[2]「宇宙が始まる前には何があったのか?」ローレンス・クラウス(2013年11月刊)
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