11 暗黒物質と暗黒エネルギー【宇宙とは】宇宙との対話
11-1 暗黒物質
・暗黒物質は、銀河の運行や宇宙の構造を説明するために仮定された物質。
(1934年にフリッツ・ツビッキーによって銀河団中の銀河の軌道速度における"欠損質量" (missing mass) を説明するために仮定された。)[1]
・光を出さず他の粒子とまったく反応しないことから暗黒と名付けられた。
・暗黒物質は、銀河を中心に球状に分布する。
・私たちには3個の空間次元しか認識できないことから、他の7個の空間次元で運動している暗黒物質は見えない。[2]
・暗黒物質の質量は、他の7個の空間次元で運動している粒子(素粒子? 超弦理論では、高い周波数で振動する弦)の運動エネルギー。[2]
・重力レンズ効果で検出できる。
11-1 暗黒物質
・暗黒物質は、銀河の運行や宇宙の構造を説明するために仮定された物質。
(1934年にフリッツ・ツビッキーによって銀河団中の銀河の軌道速度における"欠損質量" (missing mass) を説明するために仮定された。)[1]
・光を出さず他の粒子とまったく反応しないことから暗黒と名付けられた。
・暗黒物質は、銀河を中心に球状に分布する。
・私たちには3個の空間次元しか認識できないことから、他の7個の空間次元で運動している暗黒物質は見えない。[2]
・暗黒物質の質量は、他の7個の空間次元で運動している粒子(素粒子? 超弦理論では、高い周波数で振動する弦)の運動エネルギー。[2]
・重力レンズ効果で検出できる。
※True nature of galaxies [3]
・超対称性粒子の中で一番軽いニュートラリーノは安定な粒子で、暗黒物質の有力候補の一つ。(ニュートラリーノは、光子やZボソン、ヒッグス粒子のパートナーで、電気的に中性でスピンが1/2なのでニュートリノの親戚のような粒子。)
11-2 暗黒エネルギー
・1990年代に行われた銀河や銀河団(宇宙構造)の観測で、暗黒物質だけでは宇宙が平坦であるのに必要な宇宙質量の25%程度しか説明できないことが示唆された。もし暗黒エネルギーが残りの約70%を補えば、宇宙が平坦であることを説明できる。[4]
・宇宙(時空)は加速膨張しているが、物質と暗黒物質は重力で互いに引き合うために宇宙の膨張に対してブレーキとして作用し、一方、暗黒エネルギーは反発力として働くことが知られている。[4]
・宇宙(時空)が膨張しても暗黒エネルギーの密度は薄まらない。[4]
11-2-1 暗黒エネルギーの正体(仮説1)[7]
・初期宇宙をインフレーション膨張させた真空が持つエネルギーと同種のもの。
・その場合、暗黒エネルギーは宇宙が膨張してもエネルギーの密度が変化しないことになる。
・すると、宇宙の曲率が正・ゼロ・負のいずれであっても、宇宙は限りなく広がって希薄になる。
・一方、暗黒エネルギーが相転移を起こして、エネルギー密度がほぼゼロになることも考えられる。
(宇宙初期のインフレーション膨張では、真空の相転移により真空のエネルギー密度がほぼゼロになり、加速膨張が止まった。)
・この場合、宇宙の曲率が正であると、宇宙が膨張から収縮に転じる可能性もある。
11-2-2 暗黒エネルギーの正体(仮説2)[7]
・ファントムエネルギー:宇宙が膨張するにつれて密度が増えていくようなエネルギー。
※ファントム:幻、亡霊
・この場合、宇宙は引き裂かれるように膨張する。=ビッグリップ
※リップ:引き裂く。
11-2―3 暗黒エネルギーの正体(仮説3)[7]
・初期宇宙でインフレーション膨張を起こした真空が持つエネルギーが現在の宇宙に残っていて、それが宇宙膨張を再加速させているとした場合。
・しかし、理論的に残っているはずの真空のエネルギー値に比べて、観測される暗黒エネルギーの値は120桁も小さい。
・これは、真空のエネルギーが「そのエネルギー密度は一定」という特徴を持つために起こる。密度が一定の真空のエネルギー量は宇宙膨張に伴ってどんどん大きくなる。
・そこで真空のエネルギーに似ているものの、エネルギー密度が時間の経過とともに減少する、未知のエネルギーが暗黒エネルギーの正体だという説が登場した。
・・・?
・その未知のエネルギーに「クインテッセン(第5の元素)」という名がつけられている。
・「暗黒エネルギーは存在しない」との考えもある。(p.208)
・この場合、数億光年、数十億光年といった大きなスケールでは一般相対性理論が少し変わってくるために、宇宙は加速膨張をしていると考える。
11-3 観測
・暗黒物質や暗黒エネルギーを観測しようという試みがある。
11-3-1 XMASS
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の鈴木洋一郎(すずき・よういちろう)特任教授らのXMASS(エックスマス)実験グループは、岐阜県飛騨市の地下1000mに設置したXMASS検出器を用いて暗黒物質の候補のひとつであるボゾン粒子(スピンが0や1の素粒子)のSuper-WIMP(スーパー ウィンプ)について世界最高感度で探索を行い、この粒子が宇宙の暗黒物質であるというシナリオを否定した。(2014年9月)[8]
11-3-2 国際リニアコライダー計画( International Linear Collider、略称ILC)[5]
・ヒッグス粒子を調べたり、暗黒物質や暗黒エネルギーの正体を探ることを目的に、国際協力によって設計開発が推進されている。
・電子と陽電子をぶつける全長31kmの直線状の加速器 [6]
・2013年に立地候補を北上山地に選定した。
11-3-3 すみれ計画 [7]
・すみれ:Subaru Measurement of Images and Redshifts (SuMIRe)
・カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)(2007年設立)
・機構長は村山斉。
・2012年からアメリカのカブリ財団の支援を受けている。
・銀河の分布と銀河までの距離から、過去の宇宙膨張の速度を観測する。
・暗黒物質の分布や振る舞いなども調べることができる。
・2400個の銀河のスペクトル解析を同時に行うことのできる超広視野分光器(PFS プライムフォーカススペクトログラフ)は2017年稼働予定。
【参 考】
1.なぜ暗黒物質を仮定するのか?
1) ケプラーの第三法則により、二つの星の公転周期と軌道長半径から二つの星の質量の和を求めることができる。
M=a^3/p^2
M:二つの 星の質量の和(太陽質量)
p:二つの星の公転周期(年)
a:軌道長半径(天文単位))
2) 銀河団の全質量をその周縁の銀河の運動に基づいて推定すると、その結果は光学的に観測される銀河の数および銀河団の全輝度に基づいて推定された質量の数百倍となる。
3) 従って、目に見えない物質(暗黒物質)が存在するものと推測される。
2.「宇宙は何でできているのか」村山 斉(2010年刊)
3. 村山斉 “From the Big Bang to Dark Energy” Coursera of The University of Tokyo
4.Wikipedia:ダークエネルギー
5.Wikipedia:国際リニアコライダー計画
6.International Linear Collider
http://www.linearcollider.org/ILC/What-is-the-ILC/Facts-and-figures
7.「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」佐藤 勝彦(2013年刊)(p.209)
8. 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
http://www.ipmu.jp/ja/node/1998
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