32 免疫と記憶【知性】宇宙との対話
○免疫:生体内で病原体やがん細胞を認識して疫(病気)を免れること。疫病(病気)や病原菌に感染することにより、抵抗力ができ、次からはその病気にかかりにくくなることを言う。
○ 免疫には、ほとんど全ての生物が持つ自然免疫と脊椎動物が持つ適応免疫がある。
○ 自然免疫は、先天的に備わっており、白血球(食細胞)が病原体などを食べることによる。
→新型のウイルスなどに対しては十分に機能しない。
○適応免疫は、ウイルスなどの病原体(抗原)に対し、特殊な白血球であるリンパ球が後天的に抗体を作りだし、ウイルスの活動を抑える。
○ リンパ球の中では、抗体(タンパク質)製造のための情報がDNAに「記憶」される。
これを免疫記憶という。
○ 利根川進先生は、この免疫研究分野(抗体生成の遺伝的原理の解明)で1987年にノーベル賞を受賞している。
※抗体遺伝子では、ものすごい頻度で突然変異が起きている。
○ 免疫記憶と脳の記憶は、同じような仕組みで働き、免疫系(リンパ系)と神経系は、どちらも全身にくまなく張り巡らされている。
※利根川進は 免疫研究ののち脳の研究に進み1996 年に生体のマウスにおける空間記憶に海馬の CA1 と呼ばれる領域が必要不可欠なことを示した[42]。この領域にある場所細胞 (place cell|) と呼ばれる細胞はマウスがある空間における特定の場所 (場所受容野 (place field)と呼ばれる領域) に来た時にのみ選択的に発火する。この場所受容野はその空間全体に分布していて、場所細胞のグループで海馬内に地図を作っていると解釈されている。この地図の正確性はマウスの空間の学習能力を決定している。利根川は CA1 領域の NMDA 型グルタミン酸受容体の NR1 サブユニットを遺伝子的に除去することにより、受容体を特異的に阻害することで、場所細胞の反応選択性が対照群より低下することを示した。
0 件のコメント:
コメントを投稿