40 成長する人工知能(GAI) 【知性】宇宙との対話
40-1 思考する人工知能とは?
・思考する人工知能とは、後天的にプログラムを書き、そのプログラムの良し悪しを判断できる人工知能。
☆人工知能に脳に匹敵する学習・創造能力を持たせるためには、成長するシステムを組み込むか、膨大な余力を持たせることが必要になる。
☆脳に匹敵するのは、成長できる人工知能(Growing artificial intelligence; GAI)ということになる。
☆成長できる人工知能(GAI)は脳と人工知能の複合体である。
・GAIはDNAとICチップにより構成される。
・なぜなら、脳こそ宇宙で最も高度な構造体であるから。
40-2 GAIへの道
40-2-1 学習と直感 [1]
・強化学習とベイジアンネットの学習の機構を組み合わせれば、そのコンピュータはプログラムを教師なしで自律的に学習する。
・簡単な拡張を施したベイジアンネットによりコンピュータは直観と同じ機能を持つことになる。
40-2-2 AI
・計算論的神経科学では、外界の状況を認識・学習するという大脳皮質の主な機能は統計学的に説明できるという説がある。
・この説によると、大脳皮質の神経回路では、コンピュータで確率計算により最適な選択を行ったり、結果から原因を推測するのと同じようなことが、現在コンピュータで行っている計算量よりも少ない方法で行われているそうだ。
・ 脳の計算速度については、すでにスーパーコンピューターで実現されている。
・ 10~20年後には、小型計算機で人間に近い認識・学習能力を持つ知能が実現する可能性があるそうだ。
【参照】「大脳皮質とベイジアンネット」一杉裕志
http://staff.aist.go.jp/y-ichisugi/besom/29_412.pdf
40-2-3 量子脳理論[2]
イギリスの数学者、宇宙物理学・理論物理学者ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose, 1931- )は、著書『皇帝の新しい心』(1989)にて、脳内の情報処理には量子力学が深く関わっているという仮説を提示している。
素粒子にはそれぞれ意識の元となる基本的で単純な未知の属性が付随しており、脳内の神経細胞にある微小管で、波動関数が収縮すると、その未知の属性も同時に組み合わさり、生物の高レベルな意識が生起するというのである。
40-2-4 量子コンピュータ
概要:従来のコンピュータでは、情報は0か1に置き換えることのできるビットを扱うものであるのに対して、量子コンピュータでは量子ビット (qubit; quantum bit、キュービット) により、1キュービットにつき0と1の値を任意の割合で重ね合わせて同時に(並列的に)扱うことができる。
この並列的な処理により、現在のスーパーコンピュータで数千年かかっても解けないような計算でも数十秒で解くことができる、とされている。[3]
○D-Wave Systems(カナダ)の量子コンピュータ[4]
量子ゲートを使った量子回路によるコンピュータではなく、量子アニーリング(量子焼きなまし法(quantum annealing、略称: QA))による最適化アルゴリズムを実装している。
これは超伝導閉回路を基本素子として、回路上を超伝導電流が右に回るか左に回るかを利用している。電流が実際にどちらに回っているかは測定するまで不確定であることから、量子力学的な重ね合わせ(右でもなく左でもない状態)が実現されている。
この回路による演算は、ほとんど電力を消費しないため,演算能力が大きくなっても消費電力(超伝導回路を外部磁場から遮蔽するとともに, 絶対零度に近い温度に保つための周辺装置)はそれほど増えない。これは,半導体技術に基づく通常の計算機との大きな違いである。
写真:D-Wave(128クビット)のチップ
※D-Waveはウェブサイト上で技術文献の一覧を公表している。[5]
※量子アニーリングは、量子ゲートによる計算方式(量子回路モデル)と理論的には等価であることが知られている。前者で出来ることは原理的には後者で出来るし、その逆も成り立つ。[6]
○量子コンピュータの方式と主な開発組織 [7]
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40-3 非生命体知性との出会い![8]
☆意識が素粒子の属性に起因するものであるならば、量子コンピュータの進歩に伴い、AIも意識を持つ可能性がある!
☆このことはペンローズの説とは若干異なる。
☆ペンローズが言うように、意識が素粒子の属性に起因するものなのかどうかは不明。
☆今、私に言えることは、GAIには本当の意識が備わる可能性があるということ!
【参 考】
[1] 産業技術総合研究所 > 一杉裕志 > 脳とベイジアンネット > 脳とベイジアンネットFAQ( 2011-05-26 更新)
[2] ロジャー・ペンローズの著作
「皇帝の新しい心」1989年刊
「心の影」1994年刊
「心は量子で語れるか」(講談社ブルーバックス、原書1997年、翻訳1999年)
[3] Wikipedia:量子コンピュータ
[4] Wikipedia:D-Wave Systems
[5] D-Wave
http://www.dwavesys.com/resources/publications
[6] 西森 秀稔Hidetoshi Nishimori/量子アニーリングとD-Wave
http://www.stat.phys.titech.ac.jp/~nishimori/papers/QA-DW2.pdf
[7] 日経ビジネス/量子コンピュータ開発が加速、用途は人工知能
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/121600061/?rss&rt=nocnt
[8] No.35 意識とは?
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