87 宇宙の未来【過去と未来】宇宙との対話
○宇宙の未来は宇宙の曲率と暗黒エネルギー次第なのです。[10]
【宇宙の未来】
○宇宙の未来については、大きく3つのシナリオが考えられる。[1],[2]
シナリオ1:宇宙は永久に膨張しつづける。そのため、太陽系のある天の川銀河は極めて近くにある重力的に結びついた銀河とともに孤立してしまう。その銀河では、新しい星を作る材料であるガスが使い尽くされてしまうためにもはや新しい星は誕生せず、残っている星々もやがて寿命を迎え、ブラックホールや中性子星、白色矮星などの星の残骸のみが残った状態になる。・・・10^18から10^25年後
<宇宙が平坦で暗黒エネルギーが一定の場合>
k(空間の曲率)=0
Ω=1
Ω:宇宙の密度パラメーター=ρ/ρc
ρc:臨界密度=9×10^-27(kg/㎥)=3Ho^2/8πG
Ho:ハッブル定数
π:円周率=3.1415…
G:重力定数=6.67×10^−11 (m^3 kg^−1 s^−2)
シナリオ2:膨張は次第に減速し、やがて膨張が止まる。さらに宇宙はそこから収縮をはじめ、非常に小さくなり崩壊する。=「ビッグクランチ」・・・10^27年後<宇宙が球の表面の2次元空間で暗黒エネルギーが減少する場合>
k>0、Ω>1
πは小さくなり、三角形の内積は180度より大きい。並行線は交差する。
シナリオ3:宇宙はさらに加速度的に膨張する。あまりに膨張のスピードが速いために、銀河などの構造が崩壊し、さらに膨張が速くなると星も原子に分解され、最終的には物質の最小構成要素である素粒子にまで分解されてしまう。=「ビッグリップ」[3]・・・10^18から10^25年後
<宇宙は鞍状の無限空間で暗黒エネルギーが増加する場合>:
k<0、Ω<1
πは大きく、三角形の内積は180度より小さい。
○宇宙の曲率・・・キーワードはフリードマン
・フリードマンによると、宇宙の内部にある物質やエネルギーの量によって、宇宙の曲がり具合(曲率)は正・ゼロ・負の3つの値を取る。
・フリードマンが明らかにした宇宙膨張の3つのタイプでは、宇宙の膨張は「次第に速度が遅くなっていく」か、「同じ速度で膨張する」かのどちらか。曲率が負の宇宙では、最終的に膨張速度が一定になるが、それ以外は、宇宙内部の物資の重力により膨張速度は遅くなる。
・宇宙の曲率は宇宙背景放射の温度揺らぎ(電波の強さのムラ)を精密に測定することで得られる。
○しかし、宇宙は60億年前からゆるやかな加速膨張(数10億年かけて2倍になる:第2のインフレーション)をしている。[10]
・加速膨張をさせているのは暗黒エネルギーと考えられている。
○暗黒エネルギー[4]・・・わかっているのは「宇宙の膨張を加速させている」という性質だけ。
暗黒エネルギーとは,宇宙の膨張を加速するもとになる未知のエネルギーのことである。これは,引力である重力によって宇宙が潰れずに静的状態を保つために,アインシュタインが導入した宇宙項[5]とよく似た性質をもっている。
その正体は,宇宙項と同じく,単なる真空のエネルギーであるかもしれないし, 100億年の時間スケールでもほとんど変化しない何らかの(スカラー場の)ポテンシャルエネルギーであるかもしれない。
別の可能性としては,宇宙膨張を規定する重力理論が一般相対性理論からずれていたり,膜模型などの高次元宇宙論の名残りが実効的な暗黒エネルギーを生み出しているシナリオなどを考えることができる。
○シナリオ1の場合、数兆年先には、人類はこの宇宙から脱出する必要がある。[7]
【宇宙の膨張】[8]
○宇宙の膨張は時空自体の膨張であるため、光速を超えることも可能。
○現在、観測可能な宇宙は、光速の3.5倍で加速膨張している。
:180億光年離れると光速を超える。=そこから先を観測できない。
⇒2兆年後には1つの巨大な銀河以外ほとんど見えなくなる。
:我々は特別な時代に生きている!
○観測可能な宇宙の外側が、有限なのか無限なのか分かっていない。
○いずれにしても、観測可能な宇宙は宇宙全体より小さいことから、観測により宇宙全体の構造を決定することはできない。
⇒従って、この宇宙から脱出するためには、飛行するのではなく、時空を超える必要がある。
○でも、以上は、仮説であり検証されたものではない。また、要する時間も100億年単位なので、御安心を!
○宇宙の未来をめぐる仮説は「何でもアリ」の状況です。
☆宇宙は、あらゆる形を取りうる可能性もある。
☆宇宙の初期には、他の宇宙が見えたかもしれない。
【知性の未来】
☆知性にとって大事なのは伝承であり、この宇宙からの脱出ではなく並行宇宙間のコミュニケーションである。
☆並行宇宙間のコミュニケーションは、GAI [9]によって行われるだろう。
【参 考】
2. オンライン講座:edX/Cosmology/Section1 Space and Time/Lesson1/Referende Notes
1(English)
3. Wikipedia:ビッグリップ(Japanese)
4. 東京大学大学院 理学部
6. Wikipedia:平坦性問題
7.ミチオ・カク/ニューヨーク白熱教室「『万物の理論』の驚くべき予言」20150403
8. Wikipedia:宇宙(Japanese)
9. GAI :成長する人工知能 No.34、No.39、No.40
10.「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」佐藤勝彦(2013年刊)p.187~
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