2016年3月8日火曜日

25 超弦理論【宇宙とは】宇宙との対話

25 超弦理論【宇宙とは】宇宙との対話

[電磁気力+弱い力+強い力+重力]
・ミクロの世界で働く力やそこで起こる現象は量子論で、巨視的な重力現象は一般相対性理論で説明できるようになっている。
・そして、1980年頃から世界中の科学者が量子論と一般相対性理論を統一して、ミクロから巨視的な世界までを説明できる超弦理論の開発に取り組んでいる。
・量子論は重力との相性が悪く、量子論を重力に対して当てはめると矛盾した結果が得られてしまう。

・例えば、(初期の)宇宙のサイズが点のように小さいとすると、そのエネルギーは無限大になる。この点のことを特異点という。
・特異点では時間も空間も消滅し、すべての物理法則が成り立たない。
・超弦理論のように、素粒子は点ではなく、ひもでできていると考えると特異点が出てこない。

・超弦理論は、素粒子を弦の振動として表すことにより、重力を他の3つの力と同じように扱うことができる。
・・・非常に小さなスケールでは、基本的なひもはくるりと丸まって閉じたループ状になっている。ループ状態のひもは様々な励起状態を持つが、そんな励起状態のひとつに、量子的に捉えたときに重力を媒介する粒子――重力子――の性質を持つものがある。[1] (p.192)

・また、超対称性を取り入れてフェルミオンとボソンを一つにまとめることができる。
・ただし、超対称性があると考えると、粒子と反粒子を反転したパートナー粒子を想定する必要があり、粒子の数は100種類を超える。また、空間の次元は10次元となる。
・4から10までの空間次元はきわめて微小な「プランク距離」(10のマイナス35乗m)の大きさに畳み込まれている。
・この理論の想定する「ひも」の大きさが実証不可能に思えるほど小さいことなどから、超弦理論は物理学の定説としての地位を得るには至っていない。
・さらに、ひもは基本的なものでないらしいことが判明した。「膜(メンブレーン)にちなんで「ブレーン」と呼ばれる複雑な構造が、この理論の振る舞いを支配しているらしい。[1] (p.194)
・しかし、膜を表現する方法は明確になっていない。[2]

<多元宇宙(マルチバース)> [1] [3]
・ひも理論では、6次元をどのようにコンパクト化するかによって、異なる物理法則、異なる力、異なる粒子を持ち、異なる対称性に支配された、異なる4次元宇宙が生じる。数学的には、ひとつの10次元ひも理論から、10^500種類もの4次元宇宙が予測される。
・4次元だけでなく、5次元、6次元、さらにもっと高い次元の宇宙さえ埋め込むことができる。
・つまり、宇宙は1つではなく多元であり、並行宇宙があるということになる。

○課題
・2013年4月のLHC実験では、超対称または4次元以上の次元の証拠を見つけることができなかった。[4]
・現時点で、自然界の謎のどれかひとつでも、ひも理論を使って解明できる見通しがあるわけでもない。[1]

【参 考】
[1]「宇宙が始まる前には何があったのか?」ローレンス・クラウス(2013年11月刊)
[2] Michio Kaku / New York incandescent classroom "Dream of Einstein " 20150403
[3] No.28-1-1 超弦理論とブレーン(薄膜)宇宙モデル
[4] Wikipedia: Loop Quantum Gravity

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