2019年1月4日金曜日

19 標準理論(標準モデル) #宇宙 #標準

19 標準理論(標準モデル) #宇宙 #標準
[電磁気力+弱い力(+強い力)]

19-1 概要
・電弱統一理論と量子色力学は、現代素粒子物理学の基礎であり、あわせて標準理論あるいは標準モデルと呼ばれている。
・標準理論は電磁気力、弱い力、強い力の3つの力を同じ枠組みで説明できるが、3つの力の統一理論ではない。
・標準模型の素粒子(17種類)は物質を構成するフェルミ粒子(フェルミオン:クォークとレプトン:12)、力を媒介するゲージ粒子(4)、質量の素になるヒッグス粒子(1)からなる。=物質と力は素粒子からできている。
・力はボース粒子(ボソン)のキャッチボールで生じる。

○標準モデル [1]






※世代とはそれぞれの組を、質量の軽い順に並べたというだけのもので、第2世代以降の素粒子は宇宙の創成時に存在し、現在の地球には存在しない。
※なぜ世代構造があるのかは、現在の素粒子論の謎の一つ
※クォークはハドロン(陽子・中性子)を構成するが、内部構造を持たない。
 ・クォークは相当な高エネルギー状態でなければ観測できず、その性質はまだよくわかっていない。
※トップクォークの質量はアップクォークの約5万倍。金の原子くらいの重さ。
※ニュートリノ(イタリア語でニュートラルなもの、記号:ν(ニュー))は質量が非常に小さい粒子で、電荷を持たない。他の物質と出会っても反応せずに素通りする。
・電荷を持たない粒子であるため、中性のパイ中間子のようにそれ自身が反粒子である可能性がある。【Wikipedia】
※ボース粒子は力を媒介し、パウリの排他原理に従わず、同じ場所にいくらでも詰め込むことができる。
(・原子と原子は電磁気力でくっついている。)
(・電磁気力は粒子が光子を交換することで伝わる。)
※パウリの排他原理:二つのフェルミ粒子は同一の量子状態を占めることはできない。
(二つのフェルミ粒子は、不確定性原理の課する制限の中で、位置と速度の両方が同じになることができない。)
・・・もしこの世界が排他原理なしで創造されたとすれば、クォークは別々 の、はっきり確定した陽子と中性子を形づくらなかっただろう。そして、それらが電子といっしょになって別々の、はっきり確定された原子を形づくることもなかっただろう。原子はすべて崩壊して、 ほぼ一様な高密度の“スープ”を形づくったことだろう。
※強い力:電磁気力:弱い力:重力
=1:10のマイナス2乗:10のマイナス5乗:10のマイナス40乗
※強い核力、弱い核力は原子核の直径よりも短い距離でしか働かない。
※弱い力と電磁気力は、宇宙誕生直後には同じ力だった。
・・・この対称性の破れにはヒッグス粒子が関係している。
※フェルミ粒子(物質粒子)とボース粒子(力の粒子)は量子論的な次元で入れ替わる。

19-2 課題
1)物質の最小単位として、標準モデルが大きさのない“点”を考えている。点同士は限りなく近づくことができ、そのときの重力の値を計算すると答えが無限大になってしまい、現実ではあり得ない。この無限大の問題が、標準モデルが重力をうまく組み込めない理由だ。 → 弦理論(ひもを考えると、無限大の値を生み出すような状況を想定しなくてよくなる。)[2]
2)宇宙のエネルギー密度の約1/4を暗黒物質が占めていることが明らかになっているが、 標準模型には暗黒物質の候補となる粒子が存在しない。そのため、暗黒物質の正体を素粒子に求める場合は標準模型の拡張が必要である。

【理論等】
<電磁気力・弱い力に関するもの>
1.ワインバーグ=サラム理論(Weinberg-Salam theory、WS理論 電弱統一理論 (1967)
○自発的対称性の破れというアイデアを取り入れて,ゲージ粒子に自然な形で質量を与えた。[3]
○電磁気力と弱い力(ベータ崩壊のときに現れる)をゲージ理論により統一した。(ゲージ:gauge 物差し)
○ ゲージ理論によれば、相互作用する素粒子には必ずそれをなかだちする場、すなわち粒子(ゲージ粒子、ex. ウィークボソン(W粒子、Z粒子))が存在する。
○1983年、ジュネーブのCERNの加速器は、W粒子とZ粒子を発見した。

※ゲージ理論 [4]とは、ラグランジアン(運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの差)が不変である系(対称性の群)を扱う量子物理学の場の理論である。[5]・・・電磁気学の拡張
・1918年のヘルマン・ワイルのアイデアに端を発する。
・・・時空点ごとに「ゲージ」(ものさし)を与え、時空点が変わっても理論が変わらないようラグランジアンを決める(ゲージは一種の自由度で、理論不変なようにゲージ自由度を与える)
(☆運動エネルギーはマイナスで表現されることから、「差」は両エネルギーの和ということになる。)
1)場の量子論(Quantum Field Theory)では、場は粒子の形をし、粒子は場の形をし、粒子は場の力を伝える媒体となる。 [6]
(例として電子の間に働く電磁力は、光子の交換により生じる。ウィークボソンは弱い力を媒介し、グルーオンは強い力を媒介する。
※ 自然界の4つの力のうち3つ(電磁気力、弱い力、強い力)がゲージ理論によってまとめられる。
2)また、真空では、場の量は僅かに振動している。完全な「虚空」は存在しない。[6]

2.小林・益川理論(1973) [7]
○CP対称性の破れ
・アップクオークとダウンクオークが3世代6種類あるならば、CP対称性の破れを理論的に説明できる。←3であることがCP対称性が破られるために必要。
⇒また、CP対称性が破れていることにより、粒子(物質)と反粒子(反物質)が対消滅せずに物質が残った。
※P:パリティ対称性:空間を反転させることをパリティ変換と言い。左右や上下を入れ替えても物理法則に変化がないことをパリティ対称性とよぶ。
※C:C対称性:荷電供役:粒子と反粒子の対称性のこと。C対称性が保たれていれば、粒子から反粒子に変換することができる。電磁気、重力、強い力は、C-対称性に従うが、弱い力はC-対称性に従わない。

○物質と反物質:10億分の1の非対称性 [8]
・今日の宇宙には、陽子1個に対し、宇宙マイクロ波背景放射としておおよそ10億個の光子が存在する。この光子は、時間が始まって間もないころに、物質と反物質が打ち消し合ったために生じた残り物である。
・このプロセスは、完全には理解されていない。ミクロの世界の性質はまだ十分に理解されていない。

☆光子の反粒子は光子[9]であることから物質と反物質が誕生すれば光子が残るはずだ。

<強い力に関するもの>
3.量子色力学(Quantum chromodynamics、QCD 1970年代後半)
 ・電荷を持たない中性子が強い磁気モーメントを持つことなどから、物理学者たちは、ハドロン(陽子、中性子)がより小さい要素により構成されていることを仮定せざるを得なくなった。
 ・現在では、ハドロンは、6種類のクォークとハドロン内部で強い相互作用をなかだちする8種類のグルーオン(英: gluon)から構成されるものとして考えられている。
・クォークには赤、青、緑の3色があり、3色のクォークが結合すると白色のハドロンを形成する。
 ・色という言葉は、光の三原色をイメージして比喩的に使ったもの。

<その他クォーク関連>
・クォークは、単色では取り出せない。
・クオークはエネルギーであり、形あるものではない。
・同じ所に詰め込める。(パウリの排他原則に従わない。)
 ・クォークは色荷(:ボース粒子=グルーオン)を交換することで強い力を生む。
 ・その力は距離が離れるほど強くなる。
 ・高エネルギーの電子を陽子にぶつけると、その瞬間だけその力が弱くなりクオークが動いて見える。

○反物質の利用例:PET(ポジトロン断層法)
・ポジトロンとは電子の反物質である陽電子のこと。
・陽電子は電子と出会うと消滅してエネルギーに変わる。このエネルギーを光子として観測する。
・陽電子を放出するトレーサーにより、腫瘍組織における糖代謝レベルの上昇を検出する。

【参 考】
1. Matter - Wikipedia
2.川合光“究極の理論「超ひも理論」を完成させる”at RIKEN NEWS 200605
3.東島清”対称性の自発的破れとヒッグス機構”
4. ゲージ理論 - Wikipedia 
5. ラグランジュ力学 - Wikipedia 
6. 場の量子論 - Wikipedia 
7. 小林・益川理論 - Wikipedia 
8.「宇宙が始まる前には何があったのか?」ローレンス・クラウス(2013年11月刊)p.224
9.反粒子-Wikipedia

【更新履歴】
20170510 課題の整理
20171223 光子の反粒子についての記述の追加

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