19 不確定性原理【宇宙とは】宇宙との対話
19-1 1927年 ハイゼンベルク
量子のレベルでは、ある粒子(たとえば電子)について、その位置と運動量は確率でしか答えられないという原理。
○位置の標準偏差σxと運動量の標準偏差σpを結び付ける不等式
σxσp≧h
:どんなに測定の精度を高めても、位置と運動量の標準偏差の積はhよりも大きくなる。
:片方を確定しようとすると片方が不確定になる。
・x:位置、p:運動量
・h:プランク定数(6.626×10^-34ジュール・秒)
○エネルギーと時間の場合
σEσt≧h
:少しだけエネルギー保存則を破って、エネルギーを借りても良い。
※ただしたくさん借りるほど早く返さなければならない。
・E:借りるエネルギーの量、t:借りる時間
⇒エネルギーは物質化する。⇒粒子・反粒子が現れては消えている。[3]
=量子ゆらぎ
⇒真空でも、粒子・反粒子が現れては消えている。:真空のゆらぎ
⇒真空はただのゼロではなく、正と負のエネルギーがせめぎあい全体としてプラス・マイナスでゼロになっている。
・真空のゆらぎは極微において計測可能な力(カシミール効果)を引き起こす。
図:真空のゆらぎ [3]
19-2 カシミール効果(Casimir effect)
○非常に小さい距離を隔てて設置された二枚の平面金属板が真空中で互いに引き合う現象を、静的カシミール効果という。
○静的カシミール効果の引力作用は、二枚の金属板の間には真空エネルギーの一部の波しか入り込むことができないことから、真空エネルギーの密度が外側よりも減少することにより生じる。
○また、二枚の金属板を振動させると光子やエネルギーが生じる。これを動的カシミール効果という。 [4]
○動的カシミール効果では、大量のエネルギーを要するが、理論的には電子や陽子などの他の粒子も、真空から生成することが可能。また、量子コンピュータの開発などに役立つ可能性がある。[5]
19-3 真空の相転移/インフレーション宇宙/トンネル効果 [6]
○真空はよりエネルギーの低い状態の真空へと移行(相転移)する。
○現在の宇宙論では、宇宙誕生の10^-36秒から10^-34秒後の間に、インフレーションと呼ばれる指数関数的な急激な膨張(原子(1e-10m)よりはるかに小さい実宇宙(1e-27m)⇒3ミリ程度(1e-3m))があったとされている。
○このインフレーションの原動力となったのは、真空の相転移の際に解放されたエネルギーだとされている。
○初期のインフレーション理論では、偽の真空と真の真空の間に明確なポテンシャルの障壁があり、それをトンネル効果によって乗り越えることで真空の相転移が発生すると考えられていたが、新しいインフレーション理論(ゆっくり転がるインフレーション)では、明確なポテンシャルの障壁はなく、偽の真空から真の真空へと至る緩やかなポテンシャルの坂があるとされている。
※トンネル効果:エネルギーの壁を、それより低いエネルギーを持った粒子が通り抜けてしまう現象。古典的に考えればトンネルを掘らない限りは不可能に思えるが、量子論では不確定性原理により、あたかもトンネルを掘ったかのように障壁を乗り越えてしまうことがある。半導体はこの原理を利用してつくられている。[7]
【参考】
1. Wikipwdia:不確定性原理
2. ハイゼンベルクの不確定性原理 - nifty
http://homepage2.nifty.com/einstein/contents/relativity/contents/relativity3055.html
3. 島根大学集中講義 真空の性質2009
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/shimane-class09/shimanelec2_vac.pdf
4. Wikipedia:カシミール効果
5. SJN news” チャルマース工科大、真空から光子を生成。「動的カシミール効果」を実験で確認”(2011)
http://sustainablejapan.net/?p=980
6. Wikipwdia:偽の真空
7. Wikipwdia:トンネル効果
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