2018年11月2日金曜日

26 ループ量子重力理論 #重力 #宇宙

26 ループ量子重力理論 #重力 #宇宙

[電磁気力+弱い力+強い力+重力]
・一般相対論と量子論を統合しようとする理論
・量子力学の原理に基づいて重力の力を説明しようとする量子重力理論の一つ。

26-1 概要 [1][2]
○時空(時間と空間)にはそれ以上の分割不可能な最小単位が存在する。
○この理論で時空は、結晶格子のように離散的な値をとるものと考えられている。このため、時空を連続的なものととらえたときに起きる短距離極限の発散が生じないという利点がある。
○粒子は種類ごとに、プランク定数という数を基本として、その回転数は飛び飛びの値を取っている。例えば電子は、プランク定数の1/2の速度で回転している。

<粒子のスピンの方向から、空間の方向を決める。>
・1950年代に、このスピンの原理を利用して、電子のスピンの方向から、空間の各点の方向を定義する「スピンネットワーク」理論が、ペンローズによって発表された。

・具体的な方法としては物質を点で表し、方向性を線で表して、その線に垂直な面で一定の体積を作る。
・そのサイズはプランク長(10^-35m)。
・これを空間の最小単位(量子)として、方向を表す線をなぞって一周する(ループを描く)と空間の方向の変化が分かる。
・この理論で時空は、点と線を使ってグラフで表される。このグラフはスピンネットワークと呼ばれる。
・このスピンネットワークの変化が重力や素粒子の存在を示していると考える。


※スピンネットワーク[3]

<空間、重力、物質を一度に生み出し、表現できるのがループ量子重力理論の特徴>
・スピンネットワークに時間を加えたものをスピンフォームと呼ぶ。
・スピンフォームは時計の秒針が動くように離散的に変化する。
・変化前と変化後の時間の差は1プランク秒(10^-43秒)で、これが積もり積もって人が感じる時間となる。
・このようにループ量子重力理論では、時空は原子における電子配置のように離散的な値をとるものと考えられている。

26-2 超弦理論との相違
1)ループ量子重力理論と同じく量子重力理論の候補である超弦理論は、時空は背景場として最初からそこに存在するものとして定義しているが、ループ量子重力理論は、一般相対論と同様に理論自身が時空そのものを決定している。(背景独立性)
2)超弦理論では時空が10次元だが、ループ量子重力理論は、4次元。[4]
3)超弦理論ではすべての粒子が超対称性パートナーを有することになるが、ループ量子重力理論は超対称性を用いずに展開できる。[4]
4)ループ量子重力理論では、ビッグバンのような特異点は存在せず、宇宙の歴史は無限に遡ることができる。[3]
※インフレーションは量子重力効果によって引き起こされた。[5]・・・?

26-3 課題・今後の展開 
○重力は自然界に存在する四つの力(基本相互作用)の中で最も弱く量子化された重力の観測が困難.。
○空間の構造が離散的だとすると,そこを伝わる光のスピードは波長によってわずかに異なる。はるか遠くの宇宙で発生したガンマ線バーストの光が,波長によってわずかな時間差をもって地球に届くことが検出されれば,理論を実証できる。[5] [6]

○2015年 カリフォルニア工科大とマサチューセッツ工科大などの共同研究チームが重力波を初検出。 [7]

○統一理論のようなもので科学を研究し尽くせない――フリーマン・ダイソンはその理由を、ゲーデルの不完全性定理で説明する。

【参考】
1. ループ量子重力理論 - Wikipedia 
2. 教えて!goo
3.Loop quantum gravity — Einstein Online
4.リー・スモーリン ”時空の原子を追うループ量子重力理論”
5.Carol Rovelli“Loop quantum gravity”
6.産経新聞 20160212
7.No. 29 重力波

【更新履歴】
20170421 3項目に分割 
20171030 今後の展開にフリーマン・ダイソンの言葉を追加。

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