2018年5月8日火曜日

86 暗黒物質とは何か? #暗黒物質

86 暗黒物質とは何か? #暗黒物質

86-1 弾丸銀河団 (bullet cluster)から分かること [1]
銀河団同士の衝突跡がこれだ!

弾丸銀河.png

弾丸銀河(重力レンズ).png
Credit: X-ray: NASA/CXC/CfA/M.Markevitch et al.; Optical: NASA/STScI; Magellan/U.Arizona/D.Clowe et al.; Lensing Map: NASA/STScI; ESO WFI; Magellan/U.Arizona/D.Clowe et al. [2]

弾丸銀河ー3.png
※銀河団( galaxy cluster)とは、数百-数千の銀河の集まり。
※X線と重力レンズを組み合わせることで銀河団のバリオン成分と暗黒物質成分の両方を観測できる。
※弾丸銀河団(1E0657-56)は非常にまれな高速衝突。[3]

○衝突する銀河団では、バリオンのような一般の星間物質が重力以外の力で大きな抵抗を受けるのに対し、重力でしか相互作用しないと考えられている暗黒物質は銀河の星とともにあまり抵抗を受けずに通り抜ける。[1]

<基本データ>
・衝突時期:1~2億年前
・銀河系からの距離:37億光年
・銀河団の相対速度:4,500 km/s 
・大きさの比=1:10
・現在の銀河団間の距離:100~200万光年
・質量:10^14~10^15M
・銀河の数:数百~数千個

○チャンドラ衛星によるX線撮影では、星間物質のほとんどはピンクの部分に含まれている。
○しかし、重力レンズ効果を用いた観測では、重力の中心は青の部分にある。

86-2 宇宙の構造/暗黒物質の流体シミュレーション [4] [5]
<設定>
・計算量を落とすための工夫が必要。(約5,500億個の暗黒物質粒子 [6])
・近距離力をTree法(影響が大きいのできちんと解く)、遠距離力をPM法(影響が少ないのでまとめる)で解く。
・PM法では構造が発達するにつれて計算量が激増するが、Tree法で防ぐ。
・暗黒エネルギーは構造形成にはあまり影響しない。

<困難性>
・高密度構造がいたるところで発展する。→動的領域を分割する。
・重力は長距離力である。→通信アルゴリズムを工夫する。

重力計算.png

重力計算ー2.png

重力計算ー3.png
※1枚目のパネル一部を順に拡大したもの。右下はこのシミュレーションで形成した一番大きい銀河団のハロー [6]

86-3 暗黒粒子とは?
○暗黒物質の粒子の質量は水素原子0.3個分。[7]
○密度:地球に含まれる暗黒物質は500g [7]
○超対称性粒子が暗黒物質の候補。[8]

暗黒物質の候補.png

☆暗黒物質は重力波の重なりかもしれない?


※2つのブラックホールの衝突により発生した重力波(ILLUSTRATION BY C.HENZE、NASA)

86-4 暗黒物質の重力
86-4-1 重力の性質が違う?
○物質の重力は、F=G・ma・mb/(L^2)、で表される。
(G:万有引力定数、ma・mb:質量、L:距離)
○暗黒物質は物質の5倍以上存在するにもかかわらず、例えば銀河では、その周辺に球状に分布している。
○このことから、暗黒物質の重力を、Fd=Gd・ma・mb/Lのn乗、とすると、nは1以下と推測される。
(Gd:暗黒物質の引力定数)
○しかし、これだと物質と暗黒物質間の引力の説明が難しくなってしまう。

暗黒物質.gif
※True nature of galaxies [9]

86-4-2  暗黒物質の構造

        2016年5月19日

○私は暗黒物質には構造があると考える。この構造は宇宙論的に新規な特徴を有している。
○暗黒物質の粒子(暗黒粒子)の構造はまだ提案されていない。提案されているのは、宇宙の大規模構造モデルだけだ。これらのモデルは2つの理由で不十分だ:
(1)私はダークマターハローの保持力は、重力の性質ではなく、構造により得られるものと考える。暗黒粒子の構造がなければ、ダークマターハローはあのように大きな構造を取りえない。
(2)大規模構造モデルは大き過ぎる。

○原子はほとんど空っぽの構造だが、大きな体積を占める。ボーアの原子模型 [10]では、原子核の半径は原子の半径の約10万分の1と小さい。原子の大きさは確率的に分布する電子雲の広がりだ。

○私は暗黒物質のために新しい構造を提唱したい。この構造は球体をベースとする立体的なものだ。いくつかのモデルが考えられる。(図1参照)
○暗黒物質からは電磁波の放出がないことから、近接する暗黒粒子同士は重力を向心力とする単一の軌道をとると考えられる。
○銀河団同士の衝突でも暗黒物質の塊はほとんど影響を受けずに通り過ぎることから、暗黒粒子は非常に小さいもので、軌道の半径は非常に大きいものと考えられる。

結晶構造.png

カーボンナノチューブ.png
図1 構造の例[11] [12]

○もしも暗黒物質がこのような立体構造を形成すると仮定した場合には、渦巻き銀河を取り巻く暗黒物質のハローが銀河の10倍ほども広がる巨大な球状構造を持つことを自動的に理解できる。(図2参照)

○暗黒物質のハローは最初からその粒子構造の存在を示唆していたのだ。

暗黒物質.gif
図2 True nature of galaxies [13]

○このような暗黒物質の構造を理解することは、暗黒物質の正体解明のカギとなる。

この論文をまとめるにあたって、インターネットの情報、特にGoogleとウィキペディアにお世話になった。
また、オーストラリア国立大学のブライアン・シュミット博士とポール・フランシス博士[13]、東京大学の村山斉博士[9]がオンラインで公開されている宇宙論の知識に刺激された。

86-4-3 暗黒物質の構造の検証方法:宇宙重力波解析実験
☆暗黒物質が構造を持つ場合、重力波は特定の角度に強く散乱される。
☆従って、宇宙空間の異なる場所では異なる強さの重力波を観測することになる。


※電子線解析の場合 [14]

86-4-4 超対称性のねじれ [7]
:超対称性ではボーズ粒子(力を伝える粒子)が物質粒子となる。

対称性のねじれ.png

<結 論☆>暗黒物質は超対称性のボーズ粒子で立体構造を持つ。

84-4-5 暗黒物質とブラックホール
○暗黒物質は立体構造を持つことから、物質に比べて、ブラックホールを形成しにくいと推定される。

【参 照】
1. 弾丸銀河団 - Wikipedia 
2. NASA “CHANDRA” 
http://chandra.harvard.edu/photo/2006/1e0657/index.html
3. X線と重力レンズでさぐる銀河団山形大学理学部物理学科准教授 滝沢元和
http://ksirius.kj.yamagata-u.ac.jp/~takizawa/danwakai_100618.pdf
4. 石山智明“スーパーコンピューターの中で生まれる宇宙”
https://www.ssken.gr.jp/MAINSITE/download/newsletter/2012/20121024-sci-2/lecture-01/SSKEN_sci2012-2_ishiyama_presentation.pdf
5. 石山智明”世界最大のシミュレーションでダークマターの正体にせまる” 2013 -You Tube
https://www.youtube.com/watch?v=QsBiGS2zq-8
6. 国立天文台“宇宙初期から現在に至る世界最大規模のダークマターシミュレーション” 
http://www.astroarts.co.jp/news/2015/05/07simulation/index-j.shtml
7. 蓑輪眞“暗黒物質の正体は何か?”
http://www.resceu.s.u-tokyo.ac.jp/symposium/daigaku&kagaku/MINOWA.pdf
8. 浅井祥仁”「テラスケール物理」領域の概要”
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/terascale/overview.html 
9. 村山斉 “From the Big Bang to Dark Energy” Coursera of The University of Tokyo
https://www.coursera.org/learn/big-bang?utm_campaign=opencourse.bV6GUWEbEeSceSIACy-PDA.opencourse.announcements~opencourse.bV6GUWEbEeSceSIACy-PDA.instructorCourseStart&utm_medium=email&utm_source=other
10. ボーアの原子模型 - Wikipedia 
11.技術情報館 SEKIGIN
http://sekigin.jp/03corro/01metal/00me_basic/me_basic_12.html
12.The Univercity of Arizona
http://news.engr.arizona.edu/news/materials-science-and-engineering-students-win-best-poster-professional-meetings-0
13. edX ” Astrophysics: Cosmology
https://www.edx.org/course/astrophysics-cosmology-anux-anu-astro4x
14. 前野昌弘“量子力学講義ノート”20070210

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