68 核融合発電【宇宙旅行】宇宙との対話
68-1 国際的な核融合実験炉(ITER(イーターと読む))[1]
○2040~2050年に核融合発電所を建設することを目標としている。
○ITERの実験開始は、東日本大震災で超伝導コイルの性能を試験する茨城県那珂市の研究所が被災した影響で当初計画より1年遅れ、2020年になった。本格運転は予定通り27年開始をめざす。総事業費は2兆円。
○なお、20年の実験炉完成が難しくなった。
・名称は、iter(羅:道)に由来する。
・7つの国と地域(EU、インド、日本、中国、ロシア、韓国、アメリカ合衆国)がITE計画に関わっている。
・ITERの建設地はフランス・カダラッシュ。
※トカマク型:トロイダル(Toroidal 円環状の)コイルを流れる電流とプラズマ中を流れるトロイダル電流によってプラズマの閉じこめ磁場を形成する。建設コストが安いがプラズマが不安定。[2]
68-2 核融合反応 [3]
○トカマク型(ITER)、ステラレーター型(ヘリカル型)で採用されているのはD-T反応。(D:重水素、T:トリチウム(三重水素))
○重水素は海水に大量に含まれる。
○トリチウムは、核融合炉の周囲をリチウムブランケットで囲み、炉から放出される高速中性子を減速させつつ得る。
68-3 太陽の核融合反応とどう違う?[4]
○太陽と同程度かそれより質量の小さい恒星でのエネルギー生成の大半を担っているのは陽子-陽子連鎖反応(proton-proton chain reaction)。
○原子核と電子がバラバラになったプラズマは、重力によって閉じ込められている。
各反応
合計
・νは電子ニュートリノ、γはガンマ線である。
・ (1-1) は99.75%, (1-2) は0.25%の割合で生じる。
68-4 核融合の利点と欠点 [3]
○利点:少しの調整ミスで自動的に核融合反応が停止する。
○欠点:原発と同程度の放射性廃棄物。
68-5 常温核融合 [5]
○「金属水素間新規熱反応の現象解析と制御技術」というテーマで研究が継続されている。
68-6 ニュース
○ドイツのマックス・プランク研究所の核融合炉「ヴェンデルシュタイン 7-X」(W7-X)(ステラレーター型)で水素プラズマの生成に成功(20160203)。[6] [7]
・これから4年かけて、プラズマの持続時間を30分に伸ばし、20メガワットの出力を出すことが計画されている。
・核融合の実用化は2025年ごろ
・ドイツはこれまでの20年間に、核融合の研究に10億6000万ユーロ(約1386億円)を投じている。
※ステラレーター型(ヘリカル型):ヘリカル(らせん)型の周回コイルに電流を流し、閉じ込め磁場を形成する。[8]
・高レベル放射性廃棄物が出ない。(低レベルの放射化物はできるが、リサイクル可能)
※W7-Xの直径は10m。[9]
○2015年8月 MIT(アメリカ・マサチューセッツ工科大学)が小型核融合炉技術(トカマク型)を開発。2025年までに核融合炉の開発が可能に。[10]
Illustration courtesy of the MIT ARC team [10]
【参 考】
1. Wikipedia:ITER
2. Wikipedia:トカマク型
3. Wikipedia:核融合炉
4. Wikipedia:陽子-陽子連鎖反応(proton-proton chain reaction)
5. Wikipedia:常温核融合
6. IPP:Max-Planck-Institut für Plasmaphysik
http://www.ipp.mpg.de/4010154/02_16
7. Wikipedia:ヴェンデルシュタイン 7-X
8. Wikipedia:ヘリカル型
9. Wikipedia:Stellarator
10. MIT News
http://news.mit.edu/2015/small-modular-efficient-fusion-plant-0810
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