2018年8月24日金曜日

15 量子力学 #宇宙 #力学

15 量子力学 #宇宙 #力学

15-1 量子力学とは? [1]
○語源:エネルギー、長さ、速度、時間などの物理量には、それ以上分割できない最小単位(量子)がある。

○電子(:2.8×10^-15m)程度の大きさの粒子(物質)は波動方程式(シュレディンガー方程式:偏微分方程式 1926)を解いて波動関数を得るか、ハイゼンベルクの運動方程式(行列式 1925)を解くとその状態(エネルギーの値)が分かる。
:波動関数を微分するとエネルギーや運動量の値が分かる。
※波動方程式とハイゼンベルクの運動方程式は数学的に等価。
ハイゼンベルクの運動方程式は波動方程式よりも計算が複雑になることなどから、具体的な事例の計算をおこなう場合には波動方程式を持ちいることが多く、一方で量子力学の一般論を取り扱う場合には運動方程式のほうが適したものとなっている。[2] 

○波動方程式
・量子力学の基本方程式。古典力学のニュートンの運動方程式と対比される。
・物質波の状態を確率的に計算することが出来る。
・波動方程式は古典力学や数学から厳密に導けるものではない。現象を上手く説明する方程式。
※相対論は古典力学

:換算プランク定数(エイチバー)
t:時間
m:粒子の質量
Ψ(プサイ):波動関数(wave function):波動を表すために導入した複素量
X:位置
V:ポテンシャルエネルギー

○波動関数の2乗は粒子の存在確率。
・下図は物質の存在確率とエネルギー状態のグラフ。[3]

※赤色の線はエネルギーの状態(n)で、存在確率とnは飛び飛びに変化する。
※ニュートン力学の場合にはその赤線が示す幅の内側で粒子が振動するが、量子力学的な存在確率の波はその範囲を越えて広がっている。

○古典力学は量子力学の近似にすぎない。たまたま量子力学的現象が顕著でないような場合に限って古典力学を使ってもかまわない。[4]

☆宇宙は、エネルギーが数学的な規則に従うことで、全く同じ性質を持った粒子を限りなく持つ! 

○量子論的な真空のゆらぎにより宇宙が誕生した。

○波動方程式が複素数を含むので波動関数は複素数の関数。
・・・宇宙は虚数によって表現される! [5]

15-2 物質波(ド・ブロイ波(de Broglie wave))の理論
○極微のレベルでは粒子と波との間に厳密な境界はない。
→波動として存在をとらえたとき、物理学ではそれを「場」と呼ぶ。たとえば光は電場と磁場の波動である。

※波としての性質が実際に観測されるのは、電子線のような極めて微視的な状況下。
※電子は波で(その大きさを求めることは不可能)、原子核における電子の軌道の長さは波長(10のマイナス10乗m)の整数倍。
=電子が原子核に落ち込まない理由

○複素数の波のイメージ [3]

※波全体が1個の粒子を表す。
※波の高さや深さは波動関数の大きさに相当する。:ド・ブロイ波=波動関数

○物質波:複素数で表される空間を動く波 [6] :方向の無いスカラー波


○一般的に物質が明らかに波としての性質を示すのは、原子を構成する電子や陽子・中性子などの素粒子の世界、1000万分の1ミリメートル(10^-10m)以下の世界。
これはナノテクノロジーなどと呼ばれるナノメートル(100万分の1ミリメートル(10^-9m))の世界の10分の1の世界。
そして原子と同じかそれより大きな世界になると、波としての性質はほとんど現れない。[2]

・しかし原子以上の世界にも、波の性質が現れてくることがある。
・その一例はヘリウムの極低温における超流動現象。「ボース・アインシュタイン凝縮」と呼ばれるもので、極低温において複数の原子の波が重なり合うことで、ボース粒子のような性質を示し、粘性がゼロになる。
※超流動とは、一定の流速以下なら液体の粘性抵抗が消失する状態。そこでは、液体が容器原子の引力に引かれて壁をよじ登り、通常の液体では通り抜けられないような狭い隙間から流れ出るなどといった、不思議な現象が見られる。[7]
※フェルミ粒子(電子、陽子、中性子)はパウリの原理に従うが、ボース粒子(光子)は従わない。
・1999年に、炭素原子60個がサッカーボール形に集まったC60分子に干渉縞を描かせることに、ウィーン大学のグループが成功した。[2]

15-3 量子力学の成果 [8]
・原子内部の運動の説明
・化学反応(共有結合)を計算で説明
・反物質、負のエネルギーの存在説明
・半導体工学の基礎理論 → 電子機器の設計
(レーザー、トランジスタ(マイクロチップ)、電子顕微鏡、MRI、発光ダイオード、USBメモリ)
・超電導、超流動の基礎理論
・量子暗号
・量子コンピュータの開発
・量子テレポーテーション
・並行宇宙論

○課題
・量子力学と一般相対性理論を合わせた理論(量子重力理論)は、いまだ完成されていない。

15-4 不確定性原理 → No.16

【参 照】
1.五十嵐靖則“量子論の世界がわかる”
https://books.google.co.jp/books?id=rJwmaVXTRRgC&pg=PA104&lpg=PA104&dq=%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E3%81%AE%E6%B3%A2%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8&source=bl&ots=6DM1n4CVte&sig=Kjo5ljS7cub5_e8NKjOKj7CISrY&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiZ0978pdzOAhWGFJQKHd60AUUQ6AEIOTAM#v=onepage&q=%E8%A4%87%E7%B4%A0%E6%95%B0%E3%81%AE%E6%B3%A2%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8&f=false
2. 佐藤勝彦”「量子論」を楽しむ本” 
3.広江 克彦”EMANの量子力学”
http://eman-physics.net/quantum/contents.html
4. 量子力学 - Wikipedia
5.虚数は私たちの世界観を変えてしまった。 - とね日記
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ed35400df27a2bc7e597531c08d99869
6. EMAMの物理学・量子力学/調和振動子
http://eman-physics.net/quantum/oscillator.html
7. 液体ヘリウムの超流動 - 東京大学 低温センター
http://www.crc.u-tokyo.ac.jp/other/super-fluid.html
8.Quantum mechanics - Wikipedia

【更新履歴】
20170929 波動方程式とハイゼンベルクの運動方程式及び物質波について追記

0 件のコメント:

コメントを投稿