2016年4月16日土曜日

38 脳【知性】宇宙との対話

38 脳【知性】宇宙との対話

38-1 脳の成長
○脳の神経細胞間の新たな接続は生涯形成され続けるが、使われなかったものは取り除かれる。
○11歳になると不要な接続は急速に取り除かれ、神経が太くなる(ミエリン鞘の発達)
ことで神経細胞は信号をより早く伝え、効率よく情報処理を行う。
○前頭前野のミエリン形成は25歳頃まで活発に続く。
○脳は訓練で変化する=性格は変わる。
その方法。
1.ポジティブな思考=ネガティブな思考を振り払う。
2.ポジティブな行動
3.人生をコントロールする。
4.継続する。・・・簡単には変わらない。
【参照】エレーヌ・フォックス/心と脳の白熱教室 第4回「あなたの性格は変えられるか」
https://www.youtube.com/watch?v=S-dIiOugUJE

☆脳は成長するコネクトーム!
  ・・・脳は宇宙で最も高度な構造体ということだけでなく、成長もするのだ!

※コネクトーム(connectome)[1] [2]とは、生物の神経系内の各要素(ニューロン、ニューロン群、領野など)の間の詳細な接続状態を表した地図、つまり神経回路の地図のこと。つながる、接続するといった意味を持つ英語のコネクト(connect)という言葉と、「全体」を表す-オーム(-ome)という接尾語から作られた言葉。イヌやサルではなく、人間の神経回路地図全体のことを言うときは特にヒト・コネクトーム(Human connectome)と言う。コネクトームの調査、研究を行う分野はコネクトミクスと呼ばれる。
※研究の現状
ヒトゲノムの解読は2003年に終了が宣言されたが、ヒト・コネクトームの解読はまだ端緒についたばかりである。人間の脳には1000億ほどの神経細胞があり、それらの間に1兆ほどの接続が存在すると考えられている。これは30億ほどの塩基対(2-3万の遺伝子)で構成されているヒトゲノムよりはるかに複雑な対象

☆脳に匹敵するのは、成長できる人工知能(Growing artificial intelligence; GAI)ということになる。
☆成長できる人工知能(GAI)は脳と人工知能の複合体である。
☆なぜなら、脳こそ宇宙で最も高度な構造体であるから。
☆人間の役割の一つは、GAIを宇宙に送り出すことである!

38-2 脳の特徴
○脳の特徴は学習と創造。

○大脳皮質にはベイジアンネット、自己組織化マップ、独立成分分析、強化学習の機能がある。[3]

※ベイジアンネット:確率論に基づいた推論を効率的に行うための技術。 脳の機能の1つである直観と似た働きをする。脳の情報処理原理の解明の鍵となる技術。[3]
・イギリスの牧師トーマス・ベイズ(1702年(?) - 1761年)によって1763年に発見されたベイズの定理をもとにしている。
※自己組織化マップ:コホネン(T. Kohonen)により提案された教師なしのニューラルネットワークアルゴリズム。
※独立成分分析(ICA):多変量の信号を複数の加法的な成分に分離するための計算手法。典型的なICAの応用として、室内で録音された複数の人間の会話から特定の人物の声を抜き出す音源分離がある。
※強化学習:試行錯誤を通じて環境に適応する学習。

38-3 脳科学研究の状況
○米国では2013年にオバマ政権が提唱した脳科学への大型研究助成である「BRAINイニシアティブ」が実質的に始まった。欧州(EU)でも、脳科学・情報科学プロジェクトである「Human Brain Project」が本格化した。日本では、Brain/MINDSプロジェクト(「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」、通称「革新脳」http://brainminds.jp/ )の構想が明らかにされた。[4]

○BRAIN initiative [5]
・2013年4月2日 オバマ米大統領が発表した
※BRAIN: Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies
・目標:脳を構成するニューロンが作る神経回路や脳が働く時の活動の様子を、マクロからミクロまで完全に明らかにする「脳マップ」の完成。
※脳マップ作製の目的:アルツハイマー病やパーキンソン病のような脳変性疾患において見られる作用やメカニズムの解明し、治療法の開発につなげること。
・2018年 マウスの大脳皮質全体の神経細胞からのデータ収集

38-4 免疫と記憶
○免疫:生体内で病原体やがん細胞を認識して疫(病気)を免れること。疫病(病気)や病原菌に感染することにより、抵抗力ができ、次からはその病気にかかりにくくなることを言う。
○ 免疫には、ほとんど全ての生物が持つ自然免疫と脊椎動物が持つ適応免疫がある。
○ 自然免疫は、先天的に備わっており、白血球(食細胞)が病原体などを食べることによる。
→新型のウイルスなどに対しては十分に機能しない。
○適応免疫は、ウイルスなどの病原体(抗原)に対し、特殊な白血球であるリンパ球が後天的に抗体を作りだし、ウイルスの活動を抑える。
○ リンパ球の中では、抗体(タンパク質)製造のための情報がDNAに「記憶」される。
これを免疫記憶という。
○ 利根川進先生は、この免疫研究分野(抗体生成の遺伝的原理の解明)で1987年にノーベル賞を受賞している。
※抗体遺伝子では、ものすごい頻度で突然変異が起きている。
○ 免疫記憶と脳の記憶は、同じような仕組みで働き、免疫系(リンパ系)と神経系は、どちらも全身にくまなく張り巡らされている。

※利根川進は 免疫研究ののち脳の研究に進み1996 年に生体のマウスにおける空間記憶に海馬の CA1 と呼ばれる領域が必要不可欠なことを示した[42]。この領域にある場所細胞 (place cell|) と呼ばれる細胞はマウスがある空間における特定の場所 (場所受容野 (place field)と呼ばれる領域) に来た時にのみ選択的に発火する。この場所受容野はその空間全体に分布していて、場所細胞のグループで海馬内に地図を作っていると解釈されている。この地図の正確性はマウスの空間の学習能力を決定している。利根川は CA1 領域の NMDA 型グルタミン酸受容体の NR1 サブユニットを遺伝子的に除去することにより、受容体を特異的に阻害することで、場所細胞の反応選択性が対照群より低下することを示した。

【参 考】
[1] Wikipedia/コネクトーム
[2] TED日本語 - セバスチャン・スン: 私はコネクトームである
http://digitalcast.jp/v/12145/
[3] 産業技術総合研究所 > 一杉裕志 > 脳とベイジアンネット > 脳とベイジアンネットFAQ( 2011-05-26 更新)
[4] 山形方人(ハーバード大学・脳科学センター)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141227/181436/
[5] 米国の脳研究プロジェクト/山形方人(ハーバード大学・脳科学センター) 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20131224/173054/
[6] 欧米における脳科学関連大型プロジェクトの 動向について/日本脳科学関連学会連合 将来構想委員会 岡部繁男(東京大学) 本田学(国立精神・神経医療研究センター)
http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1160_01.pdf

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